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東京の一番端の学校の、一番端のクラスの、一番端の窓側の席に座ってぃる。
その少女がこの物語の主人公だ。
『草野!草野陽!?』
担任の山田が日誌をペンで叩きながら呼んだ。
『お前…もうホームルーム中だぞ…。』
『先生~。いくら言っても無駄ですょ。この子起きませんから。』
後ろの席の薫が髪をイジリながら言う。
山田はあきれたように肩を竦めると教室から出て行った。
『ほら。学校終わったよ!!帰ろうよ~』
薫が陽の机の前に立って言った。陽はゆっくりと顔を上げると、小さく頷いて、鞄を持った。
『まだ夜寝られないの?』
帰り道で薫が後ろ歩きをしながら聞いた。
陽は少しうつ向いて頷いた。
『どうにかしなきゃね…』
『だよね…』
『あれから陽、随分変わっちゃって…皆もビックリだよ。そんなに自分を責める事ないんじゃなぃの?
もっと前みたいに笑っていいんだよ?』
陽はふふっと寂しく笑った。
『出来ない訳じゃなぃんだ…。
でも私は私をどこかで許してなぃ…のかも。』
『そんなっ…陽のせいじゃないでしょ!!??』
『…わかんないょ…』
その後、二人はあまり話さなかった。
『じゃぁね!』
と陽は明るく言うと、薫に手を振った。
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