5人が本棚に入れています
本棚に追加
「宝探しの地図なんですけど」
春日部卓(かすかべすぐる)は、会社の休憩室で同僚と話をしていた。
「馬鹿馬鹿しい。子どもじゃあるまいし」
小川康史(おがわやすし)は、そう言うと、ふう、と煙草の煙を吐き出した。
「そうですか」
卓が地図をポケットにしまおうとすると、
「あっ、待て待て、ちょっと見るだけ見たいから」
康史は慌てて煙草をもみ消して、地図をひったくるようにした。
少し眺めてからすぐに、卓に返した。
「誰から?」
「それがですね、直にポストに入れたみたいで、誰だか分からないんですよ」
「近所の子どもの仕業だろ。宝の地図とはね。おおかたがらくたでも」
ぶつぶつ言っている康史を尻目に、卓は、
「僕は今夜、行きますけどね」
休憩時間が終わるから僕はこれで、と言ってその場を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!