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最初から、私をお荷物扱いしていた父親からはすんなり許可が下りた。
話を後から聞かされた母親は、何とか説得しようと思われる節があったが私は聞かなかった。
私には、双子の妹がいる。残された家族ごっこには、彼女が参加すればいい。
記憶喪失などという厄介な病気持ちの娘はいない方が良いだろう。
……私の居場所なんて家にはないのだから。
「永瀬さん?大丈夫?」
なかなか起きない私を、宮坂女医が覗き込んだ。
片側だけ伸ばされた髪が、私の顔に掛かる。
ふっと、桜の香りがした。
「あ……えぇ、大丈夫です」
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