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「佐藤くん……」
「はい?」
呼びかけると、あたしのおでこに手をあてたままの佐藤くんと目が合う。
…ただ眼鏡をしていないってだけで、別人に見えるから不思議だな…
「メガネ、は?」
あたしの一言に、柔らかく微笑んでいた佐藤くんがピシッと固まる。
あたしのおでこにあてていた手を、今度は自分の顔を包み込むように移動させた佐藤くん。
その場にヘナヘナと座り込んで
「道理で千紗さんがぼやけてると思った…」
と呟いた。
そんな些細な一言だって。
嬉しくて、愛しくて。
眼鏡を忘れる位。慌てて来てくれたのかなって思っちゃう。
単純な、あたし。
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