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「バカじゃねーの」
「ちょっ、やめてよ」
よっしーはあたしに近づくと、わしゃわしゃと頭を撫ではじめた。
「千紗男」
「!」
「………そんなの、小学生の時のあだ名じゃん? あの時は千紗が道場で1番大きかったし、空手も強かったけど」
よっしーは頭を撫でるのを止めて。頭に、ぱふっと手を置いた。
「今、千紗は"泣き虫よっしー"よりも小さいんだぜ? つまんねー事気にしてんじゃねーよ」
「…よっしー…」
なんだかよっしーが、すごく大人に見えた。
いつも組み手をする度にビービー泣いて。特にあたしとする時なんて、組み手をする前から嫌だって泣いてたっけ。
背だって小さかったし、空手も弱かった。
でも…今、目の前にいるのは。あたしより身長も高くて、逞しい男の子なんだ。
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