1689人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、えっ!? 相良く…」
「ゴメンな。俺のせいで嫌な目に合わせて」
「だからそれは…」
「俺のせいだよ。千紗が何と言おうと。…本当に、悪かった」
「……」
有無を言わせないような彼の様子に、あたしはそれ以上何も言えなくなってしまった。
男の子から抱きしめられるなんて、初めてだ。
組み手とは全然違う。
温かくて、優しくて。
"守られてる"という安心感がある。
「千紗が無事で良かった…」
「相良くん…」
…少し震えてる?
「もう、俺は近付かないから」「え…?」
「じゃあな」
それだけ言うと、相良くんはあたしから離れてスタスタと歩き始めた。
追いかければ、すぐに近づける距離。
でも、金縛りにあったようにあたしは動けなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!