佐藤くん

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「それ……」 そう言って、男の子が持っている本を指差す。 「好きなの?」 さっきまで笑っていた男の子の顔が途端に強張った。 手にしているのは、花の本。 花の…図鑑かな? 「………………」 どうしたんだろ? すっかり黙り込んでしまった。 「どうし……」 「やっぱり、変、ですよね」 あたしの言葉を遮って、男の子は暗い表情のまま話し出した。 「オ…僕、花が好きで。昼休みになると、花の本を見てるんです。男のくせに…おかしいですよね」 .
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