佐藤くん

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男の子は呆気にとられたような顔をしばらくしていたが、ようやく状況を理解したのか 「…あ! さ…佐藤です」 と簡潔に自己紹介をした。 佐藤くん、っと。 脳内にインプットする。 「今日会ったのも何かの縁だし。よろしくね、佐藤くん」 すっ、と右手を差し出す。 「あ…ハイ。よろしくお願いします」 戸惑いながらも彼の右手とあたしの右手が合わさる。 「あたしの事は千紗って呼んでね! 鈴木って名字、あんまり好きじゃなくって」 「千紗…さん、ですね。分かりました」 本に囲まれた空間にいるのはあたしたちだけ。 これが、あたしと佐藤くんとの出会いだった――― .
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