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「綺麗……」
赤く染め上がった空は、色んなところにその色を映して、世界全体が真っ赤になっていた。
あたしの黒い髪も。隣にいる相良くんの柔らかな茶色の髪も。同じように赤く染まるから不思議だ。
「急に、引っ張って悪いな」
「え、ああ。ビックリしたけど、別に気にしてないよ」
「そっか。…あの教室、居心地悪くて」
「へぇ…」
あたしはただ。
相槌を打ちながら相良くんの横顔をぼんやりと眺めていた。
「鈴木サンはさ…」
「あ、千紗でいいよ!鈴木って名字嫌いだから」
さっきみたいに、鈴木がたくさんいる場では不都合も多いしね。
アレ、本当にみんな鈴木さんだったのかな…。
「じゃあ、千紗」
「うん?」
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