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「千紗さん、ほら」
笑いを堪えながらも、佐藤くんは自分の隣をぽんぽんと叩く。
そこに座れって、事よね?
「…うん」
あたしの中で天使的存在だった佐藤くんに笑われて。軽くショックを受けながらも、指示通りに彼の隣に腰を下ろした。
「絵の具、付いてますよ」
「え?」
ふわ、と風の音が聞こえたかと思うと、佐藤くんの長い指があたしの頬に触れていた。
「なかなか取れないな…」
「え、あ、あの」
佐藤くんといつもより距離が近くて。
じっと見つめられていて。
すごく、ドキドキ、する――
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