愛惜

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控え室に紫炎と二人きり。紫炎はテーブルの上にあるオードブルを持ち、ソファーの前の机の上に置いた。 「芽咲、何も食べてなくてお腹すいただろ? 誰も来ないから、遠慮せず食べて。」 そう言いソファーにゆっくり腰掛けた。 「私は大丈夫です!! それより深海専務の方が食べられてないですよね? 飲み物しか取られてないじゃないですか! しっかり今のうちに食べて下さい!」 そう言い首を横に振り断った。 すると、ソファーから立ち上がり芽咲の元に行き、強引に引っ張り先程自分が座っていたソファーの、向かいのソファーに無理矢理座らせた。 「さっきも言った。二人きりの時に敬語は止めてくれ!」 芽咲の肩を押さえ、上から見下ろすよう芽咲を見て、怒りの交じった声で言う。その威圧感と怒気に怯み、やってしまったと、ばつが悪そうに俯き小さな声で謝る。 「ごっごめんなさいっ!!」 紫炎はそんな様子を見て、小さくため息を吐き、オードブルの上のサンドイッチを1つ手に取り、芽咲に持たせた。 「ほら、一緒に食べよう?」 今度は仕方ないなと言うような、少し困った笑顔で優しく言った。 コクりと小さく頷き、紫炎は芽咲の向かいのソファーに座り、自分もサンドイッチを手に取り、二人で食べ始めた。 .
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