愛惜

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(…手の届かない存在だって…) それから、挨拶も済み社長の全体の挨拶が終わり村岡と秋山を見送り、仕事が終わった。 後日、報告書を書くのに経悟が芽咲の課に伺う事を告げられ二人と別れ、会場の片付けを行い帰宅する。 家に着いてからも、心にぽっかりと穴が空いたような空しさは消えなかった。 その頃紫炎は、 (上手くいったな……! 今回の会合は大収穫だった。秋山様とも契約を結べた事は大きい。 村岡様と秋山様が友人だったのには驚いた。 まさか芽咲と一緒に探し回るとは予想外だったし…。) 会社に戻り、まだ仕事をしていた。今日の事を振り返り少しため息を吐く。 考えるのはやはり芽咲の事。 (目的の為なら手段を選んでられない。 早く誰にも何も言われないくらいの力が欲しい……。 早く芽咲に近付きたい…。 まだ遠い……。) 目に宿る色は何処か切なげで、けれど、揺るぎない強い意志を秘めた目をしていた。 こうして長い1日は終わった。 色んな思いが混ざり合い、また今日も二人の心は揺れる。 .
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