恋路

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恋に落ちる瞬間というものがある。 恋をするのに、何かしら理由もあるだろう。 けれど、いつだったのか……… もう、ずっと昔の幼い頃でいつだったか、又理由はなんだったのか何て覚えていない。 しかし、はっきりと覚えているのは、あの日から確実に私の中の何かが変わったのは確かだろう…。 そう、あれは事故に合い引き取られて少し経った頃だった…。 「お母さん、お母さん! 芽咲がいないんだ。 何処に行ったか知らない?」 「あら、さっきお庭にいたけど…」 それは小学一年生の頃の幼い紫炎。 昼下がりに天気は崩れ今にも雨が振り出しそうな日の事だ。 屋敷の中から窓を見るが風も強くなっている。 先程までこの窓から見ていた自分と同じ年の女の子が、少し目を離したら見当たらず、部屋を飛び出し庭に出たが、結局見つけられず引き返して来たのだった。 「やだ!雨が降ってきたわ!早く芽咲ちゃんを見つけないと。 お母さんは使用人さんにも声を掛けてお屋敷の中を探すから、紫炎はもう一度お庭を見て来てくれるかしら?」 「分かった!」 そう母親に告げ、再び少年は部屋を飛び出した。 .
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