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どれくらいの時間が経っただろう。
泣き声も静かになり、震えていた体も落ち着いた。
抱き締める腕を緩め、そっと芽咲の顔を覗き込むと目を瞑り、小さな寝息をたてていた。
(風邪引いちゃう…!)
紫炎は慌てて上着を脱ぎ、芽咲に掛けた。
そして起こさないように、静かに抱き締め直し、雨が止むのを静かに待った。
暫くして雨は止み、雲の割れ間から太陽の光が差し込んでいた。
それを見た紫炎は芽咲を起こした。
「芽咲、芽咲!起きて?
一緒に外来て!!」
慌てて揺すり起こされ、眠たい目を擦り腕を引かれる。呆然とした頭で紫炎の後を着いて行けば、温室の外に出た。
「うわぁーー!!芽咲、上見て!空!!虹だよっ!!」
少し覚醒した頭で言われた通り空を見上げれば、先程までの天気は嘘のようで、綺麗な空と虹が広がっていた。
「うわぁ!!綺麗!!」
つられて芽咲も驚き、二人で空を見上げる。
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