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それからと言うもの、紫炎はいつだって芽咲のそばにいた。
寂しくないように隣にいて、いつも手を差し伸べた。
そして芽咲も少しずつ変わっていった。
笑顔が以前よりも増え、またその笑顔は前よりももっと柔らかく、とても嬉しそうに笑うようになったのだった。
恋に落ちた日なんて分からない。
この感情はもう気付いたら胸にあった。
これが恋と気付いたのはまだ少し後の事。
ここで眠たい目を擦り、目を覚ました。
(何て夢を見たんだろう……。懐かしい夢……。)
どうやら懐かしい幼い頃の夢を見ていたようだった。時計を確認するとまだ5時過ぎで、もう少し寝ていられる。
しかし、中途半端に覚醒してしまった意識で二度寝は寝坊しそうで怖い。
少しはっきりしない頭でボーっとしていた。
(何も今こんな夢見なくてもいいのに………)
まだ胸にはあの時の虚しさが残っていた。
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