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欠伸を噛み殺して書類を作成している中、そんな芽咲の姿を横目で見ていた伊吹が声を掛けた。
「先輩、大丈夫ですか?今日はまた一段と眠そうですね?」
それもそのはず。
結局、二度寝せず朝5時過ぎからずっと起きていたのだ。
しかも週末で仕事が溜まっており、明日が休みの為今日中に終わらせたい所。
しかし、今週は会合もあった為仕事の量は半端じゃなく、更には疲れも同時に溜まっている為、中々仕事は進まない。
「大丈夫!ちょっと朝早起きし過ぎて眠たいだけだから。」
平気そうに応える顔には、疲れの色が滲んでいる。
伊吹は芽咲の机の上にある書類の束を自分の机の上に置いた。
「先輩、私手が空いたんでこの書類処理しちゃいます!」
「えっ!?いいよ!
私がやるから置いといて!」
「いいんです!
これくらいなら私に任せて下さい!」
これでもかと言う力強い笑みを見せ、直ぐ様書類の処理に取り掛かる。
「ありがとう!お願いします。」
そう笑顔を返し、再び自分の仕事を再開する。
(先輩は一人でなんでもやっちゃうんだもん!頑張り過ぎだわっ!!)
芽咲を慕い、尊敬する伊吹。大好きな芽咲の為に多くでも仕事を終わらせようと集中して取り組む。
ここに美しき先輩後輩の上下関係があった。
(なんとしても私が先輩の仕事を減らしてやるっ!!今日は一緒に飲みに行く約束なんだから!!先輩と私の邪魔をする奴は許さない。)
それから、芽咲に仕事を持って来たり頼もうとする者を、上司、後輩関係なく伊吹が上手い事手を回し、追い返していった。
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