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少しの間が、この沈黙が気まずく感じる。
何か話さなくては、けれど何を話したら良いのか。
(どうしよう…。変に緊張する!
何か話題ないかなっ?!)
電話越しで、相手が何を考えているのか分からないのはお互い様。
しかし、紫炎は至って落ち着いており、先にこの沈黙を破った。
『会合の事なんだけど……この前はありがとう。
色々巻き込んでごめんな?』
「えっ?!
いやっ!私大した事してないし、役にたてたかどうか…。お礼言われる事してないよ。」
『いや、芽咲のおかげであの商談は上手くいったようなもんだよ。
本当にありがとう!助かったよ。
それで、その……
何かお礼をしたいんだけど、何がいい?』
「お礼なんてそんなっ!!本当にいいのっ!
お礼されるような大層な事してない、紫炎の役に少しでもたてたならそれでいいからっ!」
少し声を荒げてしまう。
自分はこれっぽっちも役にたつ事は出来なかった。
それに仕事の上でした事にお礼をもらうのも気が引ける。
必死になって芽咲は断り、引かなかった。
紫炎は電話越しでも、芽咲が今どんな顔をしているのかが想像でき、軽い溜め息をつく。
始めから断られる事を見込んで、この話しを持ちかけたのだった。
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