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廊下を走り、慌ててトイレへと駆け込んだ。
トイレに入ると、荒い息を整え、走ったせいなのかそれとも紫炎に見つめられたからなのか、分からない動悸を落ち着かせようと、深呼吸を何度もした。
(ビックリした!!!
さっき言い掛けた事何だったんだろ……。
それより、秘書さんに見られちゃったけど大丈夫かな?!!怪しまれなかったらいいけど………。)
心底不安だった。
紫炎と噂にでもなってしまったら、二人の関係がバレてしまう。更には紫炎の顔に泥を塗るようなもの。
足を引っ張るような事は絶対あってはならない!
だから芽咲は入社した時も、それ以前に引き取られ深海の家に来た時から、自分の行動に気を付けてきた。幼い頃から、深海の顔に泥を塗る事はあってはならないと、心に刻んでいた。
呼吸も落ち着き、身だしなみを整えて、鏡でチェックしてからトイレを出た。
何事もなかったようにオフィスに入り、自分のデスクに戻るとPCを開き、午後の残りの仕事に取り掛かった。
時計を見ると4時を過ぎ、今日中に終わらせたい仕事を確認すると、残業は決定で気持ちが少し重くなったが、軽いため息を一つ吐き仕事に集中し始めた。
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