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小学生のまだ幼い少女から聞く言葉や考えとはとても思えなかった。感銘を受けると同時に悲しくなった。
自分は深海家の人間ではないのだと、一線を引いている事。そして、親を亡くし寂しく甘えたい年頃なのに、こんなに幼くして自分を抑え我慢をしている事に胸が痛かった。
そして倉松は気付いていた。芽咲が紫炎を想い、慕っている事に。
紫炎に対しては心を開いており、芽咲もまた紫炎の支えになっている事に。
今も紫炎を見つめる優しい目は変わっておらず倉松は安心した。
「今日たまたま会議室に行ったら、紫炎が倒れていたんです。
秘書の方もおられないし、1人じゃ歩けそうになかったから付き添ってました。幸い誰にも見られなかったから良かった。」
「そうだったのですか。紫炎様もこの頃お忙しいようで、無理をされていたのですね。」
芽咲と倉松は他愛もない話しをし、久しぶりに話す懐かしさや心地良さが車内を包んだ。
そうこうしている内に紫炎のマンションに到着した。
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