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「紫炎、起きて。着いたよ。」
優しく声を掛けると辛そうに起きる。
「紫炎様、お部屋まで付き添いましょうか?」
心配そうに倉松が訪ねた。
「いや…、いい。大丈夫だ。…それより芽咲を送ってくれ。」
「私が付き添います。紫炎、今日は泊まっていくね?1人じゃ心配だし多分、夜中熱がもっと上がると思うから。
誰かいた方が良いと思う。何かあったら不安だし、私は大丈夫だから。」
優しく微笑み、諭すように言う。紫炎は少し困惑した表情を見せ考えている。
「紫炎様、差し出がましいようですが、芽咲様のご好意に甘えた方が宜しいかと。本邸のように使用人がいる訳でもございません。
こちらとしても、誰か紫炎様に付いて下さっていたら安心です。芽咲様なら尚更。」
「……分かった。芽咲、悪いが頼む。」
「はい。歩ける?肩に掴まって。」
「…ありがとう。」
倉松がドアを開けるとゆっくり車から降り、芽咲の肩に掴まり歩きだす。
「倉松、ご苦労だった。気を付けて。」
「有り難うございました。紫炎様も充分お休み下さい。芽咲様、宜しくお願い致します。失礼致します。」
そう言い、車に乗り走りだす。見送り2人も中へと向かう。
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