幕開け

33/37

123人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
「紫炎、起きて。着いたよ。」 優しく声を掛けると辛そうに起きる。 「紫炎様、お部屋まで付き添いましょうか?」 心配そうに倉松が訪ねた。 「いや…、いい。大丈夫だ。…それより芽咲を送ってくれ。」 「私が付き添います。紫炎、今日は泊まっていくね?1人じゃ心配だし多分、夜中熱がもっと上がると思うから。 誰かいた方が良いと思う。何かあったら不安だし、私は大丈夫だから。」 優しく微笑み、諭すように言う。紫炎は少し困惑した表情を見せ考えている。 「紫炎様、差し出がましいようですが、芽咲様のご好意に甘えた方が宜しいかと。本邸のように使用人がいる訳でもございません。 こちらとしても、誰か紫炎様に付いて下さっていたら安心です。芽咲様なら尚更。」 「……分かった。芽咲、悪いが頼む。」 「はい。歩ける?肩に掴まって。」 「…ありがとう。」 倉松がドアを開けるとゆっくり車から降り、芽咲の肩に掴まり歩きだす。 「倉松、ご苦労だった。気を付けて。」 「有り難うございました。紫炎様も充分お休み下さい。芽咲様、宜しくお願い致します。失礼致します。」 そう言い、車に乗り走りだす。見送り2人も中へと向かう。 .
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加