幕開け

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いきなり紫炎に腕を掴まれた! 驚くと同時に腕の力が強く引っ張られ、椅子にまた座ってしまった。 「紫炎っ?!どうしたの……?」 「………くな……。」 ボーっとしていて、意識がはっきりしていないようだった。 体に熱を帯び、掴んだ手が熱く離そうとしない。 少し開いた目は潤んでいて、艶めかしく色っぽく、その瞳に見つめられドキドキした。 「……行く……なよ…。」 小さく呟いた。 「えっ………?」 「…また……置いて…く……な」 消え入りそうな声だけど、確かにそう言った。 また寝息が聞こえ、眠りについてしまった。しかし掴んだ手を離してくれず、結局移動する事を諦める。 (確かに今‘置いて行くな’って言った……。) 芽咲は紫炎の言った言葉の意味を理解出来ず、寝顔を見つめた。 暫らくして眠気が襲い疲れが溜まっているせいか、そのまま椅子に座り眠ってしまった。 2人の寝息が部屋に零れた。 .
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