恋煩い

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翌朝、紫炎は目が覚め枕元にある携帯に手を伸ばし時間を見ると5時だった。 片方の手に暖かい感触があり目をやると、芽咲の手を掴んだ自分の手があった。芽咲は椅子に座ったまま眠っていた。 静かにベッドから降り、芽咲の脚と肩に手を回し起こさないように抱き上げると、ベッドに寝かせ毛布を掛ける。 体も軽く、頭もスッキリしており風邪はすっかり治っていた。汗を大量にかいて体がベトベトしていた。 (シャワー浴びて着替えてくるか。それから朝食を用意して芽咲を起こそう。) クローゼットから部屋着をだし浴室へと向かう。 頭から熱いお湯を浴びて気持ちもさっぱりしてくる。 (芽咲が看病してくれたおかげですっかり治ったな。 ………昨日、とっさに手を掴んだのを覚えてる…。芽咲が席を立ち、行こうとした瞬間またあの時と被って見えた。 芽咲が家を出た時に…。行って欲しくない思いで必死だった。まさか掴んだまま寝るなんて……。悪い事をしたな…。) 紫炎は申し訳ない思いだった。毛布もなにも掛けず、又椅子に座ったままの姿勢で寝たのでは、辛かったはず。それでも芽咲は手を離さずにいてくれたのだ。 芽咲に対して、いとおしさがまた沸々と込み上げてきた。 .
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