恋煩い

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体温計を救急箱から取出し芽咲に渡す。 「……昨日、俺が手を掴んだまま離さなかったからだよな?ごめんな……?離してくれて良かったのに……。」 悲しげな顔で芽咲に謝る。 「……だって…、紫…炎……置いて行くな……って…。」 紫炎は心臓を鷲掴みにされたように苦しくなり、切なくなった。 芽咲は熱で苦しいにも関わらず紫炎を見て笑って見せた。 少し潤んだ瞳に、芽咲の優しさに理性が飛びそうで、抱き締めたい欲望を抑えるのに必死だった。 「…ありがとう。」 頭を優しく撫で芽咲を見つめ返した。 体温計が鳴り表示を見ると39℃もあった。 (会社に連絡させてから、お粥と薬を用意しよう。会社に行くまでにまだ時間はある。経悟に連絡して午後には上がらせてもらって、芽咲を病院に連れて行こう。) .
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