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12時を回り、仕事に区切りがつくと経悟が声を掛ける。
「専務、切りが良いので今日はもうお休み下さい。」
「済まないが、後は任せる。この件だけは今日中に仕上げたいから、このファイルを持って帰る。」
「分かりました。ゆっくり休んで下さい。」
そう言い上着を渡され受け取る。
「何かあったら連絡してくれ。」
片手を挙げオフィスを出た。経悟も一礼して見送る。早足で会社を出ると急いで車を走らせた。
(仕事の合間に通院の予約は入れたし、1時半からだから間に合うな。家に帰る前に必要な物を買い揃えないと。)
家のすぐ近くにあるスーパーにより、ゼリーやプリン、スポーツドリンクを買い込み帰宅した。
心配で心配で急いだ為に息を切らすが、真っ直ぐに寝室に向かい、静かにドアを開け芽咲の様子を見る。
芽咲は寝ていて顔の赤みは引いていなかった。
優しく声を掛け静かに起こす。
「芽咲……、芽咲。」
「ン……、紫……炎…。」
「ただいま。熱計ろう…?」
芽咲が小さく頷き計ると38℃で熱は引いてはいなかった。
「1時半に診察の予約入れたから。何か食べれるか?お粥よりゼリーやプリンの方が食べやすいなら、買ってきたから。どれがいい?」
「……ゼリー……が……いい」
「分かった。ちょっと待ってろ。」
スプーンを取り芽咲に渡し、再び寝室を出て楽な格好に着替え、プリンやスポーツドリンク等を冷蔵庫にしまった。
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