恋煩い

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朝食の準備を手伝いたかったが紫炎に止められると思い、おとなしくソファーに腰掛けている。 昔から体調を少し崩したり、ちょっと怪我をしただけで、大袈裟なくらい心配された。 すぐに「休め」とか「寝てろ」など、言いだしたら言う通りにするまで言い続け、渋々言う事を聞いていた。 (…昔から大袈裟なんだから…。大丈夫なのにな……。) 少し遠目でキッチンで作業をしている姿を見つめる。 本当に心配してくれ、大切にしてくれているのが分かるが過保護すぎる気もしつつ、紫炎の押しに負けてしまう。 しかし、手伝いも必要がないくらいてきぱき料理をし、あっという間に朝食が完成してしまった。完成した料理がソファーの前の机に並べられていく。 目の前には湯気の昇った美味しそうなうどんが置かれ、紫炎の前にはお味噌汁にご飯、焼き魚にだし巻き卵。まさに主婦の朝食だった。 「紫炎、こんなに料理上手なんだ……。」 呟くように言うと、 「さすがに一人で何年も生活してたらな。冷めないうちに食べよう。」 二人で朝食を食べ始めた。 .
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