恋煩い

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家を出て、車を走らせ会社に向かう。 (芽咲の体調も回復して良かった。まだ病み上がりだから無理はさせられないな。大人しく寝てくれてたらいいんだが……。) 今朝の見送りを思い出し、まるで新婚みたいでつい頬が緩む。 しかし会社に着くと緩んでいた頬も気持ちも一気に引き締める。 オフィスに入るといつものように経悟が出迎える。 「おはようございます。昨日はよく休めましたか?」 「あぁ、助かった。これ、昨日持って帰った仕事だ。後頼む。」 ファイルと資料の束を鞄から出し渡す。 「かしこまりました。専務、明日の大阪出張の手配が整いました。明日は2時に本社を出て、7時に大阪に着きそのまま会食となっております。」 「分かった、今日は3時に会議だったよな?その資料は?」 「準備出来ております。」 「今日は7時に上がりたいんだが出来そうか?」 「7時ですか?!早くても8時になってしまうかと……。」 「昨日これだけ終わらせておいた、無理そうか?」 分厚いファイルと先程渡した資料よりも大量の資料を渡した。 「っ?!こんなにっ!!?…専務、昨日本当にしっかり休まれましたか?……7時には上がれそうですね。」 経悟は顔を引きつらせ、苦笑いし大量の資料に目を通す。その量の半端じゃない事。 なんでもない顔をしてPCに向かい仕事を始めた。 二人の時間を作る為なら仕事も平然とやってのける紫炎だった。 .
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