恋煩い

23/36
前へ
/153ページ
次へ
その頃紫炎は、着々と仕事を片付けていき予定通り7時には上がれるまで仕事が終わっていた。 明日は大阪に出張しなくてはならない為、午前中には芽咲を自宅に送り届けなくてはならない。 その為、芽咲とゆっくり過ごせるのは今日しかない。それを考えると今すぐにでも上がりたい所だった。 それ程紫炎の胸には芽咲が大きく占めていた。 「専務、本日夕食はどうされますか?只今の時刻、6時を過ぎました。」 会社に残る時はお弁当を用意してもらい食べる。昼は食堂に電話して持って来てもらうが、お弁当の場合は経悟が外に買いに行ってくれる。 (芽咲も待っているからな…。) 少し間を置いてから答えた。 「今日はいい。自宅に帰ってから食べる。」 「分かりました。…………専務、このところ家にすぐ帰りたがりますね。何かあるんですか?」 経悟が不思議そうな顔で訪ねてくる。少しドキッとしたが冷静に返す。 「そうか?そんな事ないと思うが。」 「…気のせいならいいんですが。ペットでも飼いだしたのかと思いました。」 笑ってみせ、気が済んだのか再び何もなかったように仕事を始めた。 (妙に勘の鋭い奴なんだよな…) 内心ヒヤヒヤしてしまう。 その後、 しっかりと7時前に仕事を終わらせて会社を出た。会社を出ると急いで自宅へと向かう。 (今から夕飯を作るとなると8時か。芽咲を待たせてしまうな…。何を作ろうか。) そんな事を考えながら車を走らせると、あっという間に自宅に着き急ぎ足で部屋に向かった。 .
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加