恋煩い

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キッチンでは、余熱が終わりオーブンにドリアを入れ、焼き終わるのを待つ芽咲がいた。 「芽咲、焼き終わるの見てるから先にお風呂入って。」 「でも!先に紫炎入って!!私、後でいいから!」 あたふたして遠慮している芽咲に着替えを渡し、背中を押す。 「いいから入る。病み上がりなんだから、早く休んでもらわないと。」 「で、でもっ!!」 紫炎は芽咲が押されたら中々引かないところがある事を知っていた。 紫炎が前に立ち、後ろ背に浴室のドアがある。芽咲は浴室のドアの前で入るのを渋っている。 ふと紫炎が良い事を思い付きニヤリと笑い、芽咲を抱き締めドアを開け、そのまま一緒に浴室に入った。 驚きのあまり顔を真っ赤にし体を硬直させる芽咲に、紫炎は耳元で囁くように言った。 「そんなに先に入るのが嫌なら、……一緒に入るか?」 意地の悪い顔を浮かべ芽咲を見る。芽咲はおろおろし、慌てて、 「ささささ、先にっ! 先に入るッ///!!!先に入らせて頂きますッ////!!」 急いで紫炎を浴室の外に押し返し、ドアを閉めた。外から紫炎のクスクス笑う声が聞こえてくる。 「どうぞごゆっくり。」 そう言うと紫炎はキッチンに向かって歩き出す。 足音が遠ざかっていったところで芽咲はしゃがみ込んだ。 (何今のッ///!!紫炎ってあんな事する人だったっけ///!!? 確かに今まで多少はからかわれた事あるけど、あんな事されたの初めて///!おでこにキスされたのといい、心臓保たないよ///!) 悶々としながらお風呂に入る芽咲だった。 .
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