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湯船に浸かりながら悶々としていた。泡に包まれ、綺麗に全身を洗う事で気持ちも洗われるようだったが、気分がスッキリし頭が冴え落ち着く分、様々な事が頭をよぎり悶々としてしまった。
(紫炎の行動がおかしい……。
今まで他愛もないやり取りはあったし、からかわれた事やちょっかいを出された事もあったけど…。今までと何か違う…。
あんな事されたの初めてで、どう反応していいのか分からない///変に意識してしまう…。
好きって気持ちを消すの辛いし…大変で苦しいのにな……。)
苦く悲しい顔をし、湯船から出てシャワーを再び浴びた。
何度この気持ちを
消した事だろう?気付かないふりをし、蓋をしてきた事だろう…
優しくされる度、二人の距離が近づく度に胸が締め上げられるように苦しくなった。
絶対に手の届かない、叶わぬ恋。
これ以上何も失いたくない。
そう思えば思う程、演技をしてでも“何もなかった”ふりをするしかなかった。この好きという感情も、始めから何もなかったようにするしか……
シャワーを浴び終え体を拭く。気持ちを切り替え、着替えを済ませてキッチンへと戻ると、部屋中に良い匂いが漂っていた。
「お風呂ありがとう!お先でした。」
丁度焼き終えたドリアをオーブンから取出し、リビングの机に運ぼうとしていた紫炎に声を掛ける。
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