恋煩い

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時間をかけて長い髪を乾かしドライヤーを直す。 「髪、伸びたな。」 紫炎が髪を掬い手に取る。 「こまめに切ってるんだけど、ずっと伸ばしっぱなし」 と、苦笑いし応えた。 「綺麗だ。」 芽咲を見つめたまま、綺麗に手入れの行き届いた艶のある漆黒の髪を手に掬い口づけした。 その仕草に目が離せず鼓動が速くなる。 紫炎が手を離し、髪がサラサラと流れ落ちる。 「ご飯にしようか。」 そう告げキッチンに戻っていく。 後から何も言わず少し遅れてついて行く。 食事の用意も整い、二人で会話をしながら食べ始めた。チキンドリアは上手く焼けていて他愛もない話しをしながら食べているとあっという間に食べ終わってしまった。 それから二人で片付け、紫炎はお風呂に入りに行き芽咲はリビングでテレビを見ていた。 テレビを見ているが意識は別のところにあった。 (明日は家に帰らなくちゃ…。 ………家に帰ったらもうこうして紫炎と一緒に過ごす事もないのかな……?こんな風にいれるのも今日だけで、もうないのかな…。) また胸が苦しくなった。 例え我が儘であっても、傍にいたい。 この一時がずっと続けばと願わずにはいられなかった。 暫くボーっとテレビを見つめていると、リビングのドアが開きお風呂上がりの紫炎が、タオルで髪を拭きながら入ってきた。 .
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