恋煩い

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書斎に行きPCを立ち上げ、明日の為に仕事に取り掛かる。 (明日の昼までに芽咲を自宅に送り届け、そのまま会社に行って1週間は大阪か…。次に会えるのはいつになるんだ…?このままあっけなく手を離す事はしたくない。行動を起こすなら明日か…。) 仕事は進めつつも頭の中では違う事を考え首をひねっていた。 一方、寝室に戻った芽咲はおずおずと布団に潜り込む。人の布団で眠るのは落ち着かないが、布団に入ると紫炎の匂いが鼻をかすめる。 微かな香水の香りとシーツ等の寝具からは洗剤の香りがし、そばに紫炎がいるようで安心し疲れもあってか目をつぶるとすぐに眠りについた。 寝室にはスヤスヤと安らかな寝息が聞こえた。 夜中になり、トイレに行きたくなり目が覚め、うとうとしながらトイレに行く。紫炎の事が気になりリビングに行くが紫炎の姿はなく、静かに書斎を覗いてみる。 すると、机にうつ伏せて寝ている紫炎の姿があった。寝室に戻り毛布を手にし、それを紫炎に掛ける。綺麗な寝顔を見つめ、そっと頭を撫でた。 机の上にはPCと資料やファイルの山があった。ふと机の上に飾られてある一つの写真立てに目が止まった。 (この写真、家を出る前に二人で撮った最後の写真だ……。懐かしいな…、明日には家に帰っていつもの日常が来る。……こうして紫炎と一緒にご飯を食べたり、この寝顔を見る事も出来ない。もう少しだけそばにいたかったな…。) 悲しい眼差しに変わり、頭を撫でる手を止めた。そのまま静かに書斎を出て寝室に戻り、再び眠りにつく。 先程まで心地良く、安心感さえ感じていた香りも切なさに変わり胸を締め付けた。 .
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