恋煩い

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翌朝、携帯のアラームで6時に目を覚ました芽咲は、大きく伸びをして布団から出た。 浴室に行き洗面所で顔を洗い眠気を覚ます。リビングに行くと、やはり紫炎の姿はなくあのまま眠ってしまったのだと思った。 今から朝食を作るのに物音で目が覚められては困るので好都合ではあった。 和食を作る事にし、静かに朝食を作り始める。 芽咲は料理が上手で和食から洋食、中華、フレンチ、イタリアン一通りは作れる腕前だった。 深海家にいた頃はシェフに料理を教わっていた為、一人暮らしをし始め自由にキッチンを使えるようになり更に腕が磨かれた。 黙々と作り手際も良いためすぐに朝食は完成する。 紫炎を起こしに書斎へと行くと、やはり夜中と変わらぬ姿のまま眠っていた。 優しく声を掛け起こす。 「紫炎…。紫炎、おはよう…!起きて…?」 少し揺すると静かに目が開く。 「ン……、……おはよう…。」 「おはよう。朝食作ったから食べよう……?」 「あぁ…、……この毛布芽咲が…。」 「あっ、……うん。昨日夜中に目が覚めちゃって……。リビングに行っても紫炎いなくて、書斎で寝てたから風邪ひくと思って…。」 話し終えると紫炎の手が芽咲の腰に伸び抱き寄せられた。 紫炎は椅子に座ったままの状態で芽咲を抱き寄せた為、芽咲の胸あたりに顔がある。 芽咲は驚き立っているままで身動きはとれず慌てふためく。顔を胸に埋める紫炎に声を掛ける。 「しっ、紫炎っ///!?」 「……ありがとう。もう少しだけ……このままで…。」 何も言えず、早まる鼓動を必死に隠しただその温もりに身をゆだねた。 少しすると顔を上げ腕を離した。 「朝食食べようか…。」 少し微笑み椅子から立ち上がり、芽咲の手をとりリビングへと向かう。 少しぎこちなくも会話をしながら朝食を済ませた。 .
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