愛惜

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あれから1週間が経った。 紫炎が出張に行った次の日、泣き腫らした目を冷やしたが腫れが残ってしまい、休む訳にもいかず会社に行くと、大勢の人に心配され気を使われてしまった。 今は体力も回復し落ちていた気分も戻っていた。 それと同時に来週には大きな会合が行われる為、忙しくバタバタしており芽咲も仕事に打ち込んでいる。 仕事に打ち込んでいれば紫炎との事を考えなくてすむ。一人で色々と考えたが、考えれば考える程、悪循環してしまい苦しかった。 紫炎とは会社では滅多に会う事もないので、出張から帰ってきてもその点は心配いらなかった。 ただ、もし会ってしまったら…… また2人だけで話す事があったら…… それを考えると怖くて仕方がなく、会う事はないと分かっていながらも会社に行くと少し怯えてしまう。 (出来るなら…、何もなかった事にしたい…………) 心の中でポツリと呟く。 目はPCの画面を見つめたままで、手はキーボードを打ち続けているが、心ここにあらずだった。 .
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