愛惜

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時間が刻一刻と近づくにつれ緊張し、落ち着きがなくソワソワしてしまう。 どう接していいのか分からなくなり、会うのが怖かった。 逃げ出したい気持ちもあるが、逃げてはいけないという気持ちもある。しかし、いつもと変わらぬ態度で接する事など出来ない。 どうしていいのか考えてしまい仕事も手に付かず、結局答えは出ぬまま時間は過ぎ、約束の時間が来てしまった。 そそくさとオフィスを出て、更衣室の荷物を取り会社を出た。 会社を出て裏の通りに入り少し歩く。人も少なく、会社の人間が歩いている姿はない。 大概の人は、会社の表通りを歩いた所にある駅を利用しており、芽咲も普段は電車を利用して会社に通勤している。 約束の小さな喫茶店に着き外で待つ事にした。 木造のお洒落で落ち着いた雰囲気の喫茶店で、たまに伊吹と入ってお茶をする。 着いてからも辺りをキョロキョロと見渡し、ソワソワしてしまう。 頭の中ではどうしよう、どうしようと同じ言葉が繰り返され、必死に考えるが何も浮かばず焦っていた。 .
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