愛惜

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普段はとても落ち着いていて、どんな時も取り乱す事なく冷静な対応が出来る芽咲だが、今日ばかりはそうもいかず落ち着きを失っていた。 暫くすると一台の見慣れた車が近づいて来てクラクションを鳴らす。芽咲の前で停まるとミラーが開き、紫炎が顔を出した。 「遅くなってすまない!乗って。」 慌てて促されるまま助手席におずおずと乗り込む。 気まずくて何を話していいのかも分からず、紫炎の顔を見る事が出来なかった。 「今日は急に呼んですまなかった…。先に保険証を返しておく。」 そう言い財布から保険証を取出し芽咲に渡した。 芽咲は恐る恐る手を伸ばし、保険証を受け取り自分の財布にしまった。 「夕食は食べた…?」 「ま、まだ…!」 「なら付き合ってくれないか?行きたい所があるんだ。」 芽咲は小さく頷き、それを確認した紫炎は車を走らせた。 .
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