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車を走らせる事一時間弱。
特に会話をするでもなく、お店に着いた。ぎこちないものの先程のように重苦しい空気でもなく、芽咲は窓の外の景色を眺めていたのだった。
駐車場に車を停めると、紫炎が先に降り助手席のドアを開けエスコートしてくれる。
紫炎の後を着いて建物に入ると、奥から着物を着た綺麗な女性が出迎えた。
「ようこそお越し下さいました。」
ここの料亭の女将と思われる女性が頭を深く下げ、紫炎に挨拶をする。
「急にすまなかったな。個室は空いてるか?」
「勿論、若のためにご用意出来ておりますよ。さ、こちらへどうぞ。ご案内致します。」
そういうと案内され奥の個室に通された。
部屋は和室で広く、オレンジ色の照明が温かく落ち着いた雰囲気を出しており、窓の外の庭は立派なもので又月が綺麗に見える。
席に着くと、早速出されたお絞りで手を拭き食前酒に口をつけた。
辺りをキョロキョロと伺ってしまう。
それもその筈。建物を見て分かるがかなり豪華な懐石料理屋に来たのだからだ。
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