愛惜

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(やっと芽咲の笑った顔が見れたな…。電話で急いで予約を入れた甲斐があった。) 芽咲の食の好みを熟知している紫炎は、和食が好きな芽咲の為にこの店を選んだ。本当ならこの店は一週間前には予約を入れないと満席で入れない所だが、無理を言って空けてもらったのだった。 深海の顔がきいたのもあった。仕事の取り引きでよく使っていたのでひいきにしていたのもあり、女将とは仲も良いのでプライベートでも安心だった。 (洋食ならパスタが好きだったよな?次はあの店にしよう。この笑顔が見れるならこんなの安いもんだ…。話してくれなかったらどうしようかと思ったが、少し警戒を解いてくれたみたいだな。) 美味しそうに食べているその無防備な姿に、つい顔が緩む。 芽咲はお酒を飲んでいた事もあり少し気分を良くしていた。 こちらを伺うように見つめ口を開いた。 「……紫炎、大阪はどうだったの…?」 「あぁ…、大阪は」 それから2人は他愛もない話しをし食事を楽しんだ。 .
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