愛惜

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(……良かった。 何とか普通に話しは出来るようになったな……。) リビングのソファーに深く腰掛け、携帯を見つめた。 (会う為に毎回口実を考える訳にもいかないしな………。何かいい手はないか…。 それに距離を詰めすぎると警戒して逃げられるから気を付けないと………。) 紫炎も自宅に着き、入浴を済ませ寛いでいた。 出張から帰ったばかりで疲れており、仕事をする気力もなかった。 (もっと会いたい。触れたい。あの笑顔を見ていたい…。どうしたら俺のものになってくれるんだ……? もし、もし俺の思いが届かなかったら……。俺の存在を拒絶されてしまったら……。 怖すぎて考えたくないな…。芽咲は俺の全てだから……。芽咲以外、誰も好きになんてなれない……。 絶対に何がなんでも手に入れる。この4年間を無駄にはしない…! 次の会合はでかいな……。) 芽咲に対する積もる思いを、胸に閉じ込めながら瞼を閉じる。 瞼に焼き付いて離れない愛しい笑顔が、紫炎の思いをより熱くさせた。 .
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