愛惜

18/41
前へ
/153ページ
次へ
紫炎と食事に行った日から日は経ち、あれから連絡は取っていない。 明日に大きな会合と立食パーティーが行われる為に、この時期は会社が忙しく、残業が続いていた。 「先輩!明日は会合と立食パーティーの接待頑張りましょうね?!」 ルンルン気分で伊吹は隣から話し掛けて来る。 普通なら片付けやら何やらで嫌な筈なのに、何故伊吹が嬉しそうなのかは、芽咲には想像がついた。 「……いぶちゃん、明日の立食のデザートを楽しみにしてる?その為に頑張るんでしょう…?」 「エヘ♪」 「もぅ、そんな事だと思った!」 呆れながらも伊吹らしいと思ってしまう。 しかし、こんな事を言いながらもしっかり仕事をこなし、やる時はやってくれるのを知っているからとやかくは言わないのだった。 立食パーティーの接待と言っても、受付の仕事と片付けくらいで後はお客様との交流やお偉いさんの接待、取り引き先との話し合いなんかも行われる。 忙しい人は忙しいが、社の中の上の人達だけであって、普通の社員はそこまで忙しいわけでもないので、慎ましい態度を保ちながら一緒に立食を楽しんでいる。 芽咲は今回の立食パーティーでお得意先との話し合いがある為、伊吹と違ってそんなに楽しく過ごせる訳ではなかった。 .
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加