愛惜

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パーティーまであまり時間もないので焦っていた。 エレベーターが見えて来ると同時に、反対側の廊下から走ってくる人影が見えた。 その人影がどんどん近づいて来るにつれ、それが誰だか分かり胸が大きく高鳴った。 それは黒のスーツをビシッと着こなした紫炎だった。紫炎もこちらに気付いたようで、驚いた顔をしている。 (紫炎っ?! どうしてここにっ!? まさかこんな所で会うなんて!) 芽咲の方が先にエレベーターの前に着き、下に行くボタンを押していた。 紫炎もエレベーター前で立ち止まり、少し呼吸を整えてから芽咲に声を掛けた。 「芽咲!俺も下に行くから乗せて!!」 「はい!」 何か急いでいるようでお互いに緊迫した空気だ。 しかし、よりによってこんなに急いでいる時に限ってエレベーターは中々自分達のいる階まで来てはくれない。 パーティー前で多くの人が利用しているのもあるのだろう。 2つあるエレベーターの2つとも混雑している様子だった。 .
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