世界最後の日

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今日で世界が終わるらしい。 昨日ニュースでやっていた。 勿論、仕事も学校も休みだ。 死ぬ前にやっておきたかったこと…色々ある。 海外旅行、酒池肉林、 だけど今更出来ない。 航空会社もやってはいない。 そもそもお店なんて一部の物好き以外やっちゃいない。 まず外に出れば、一部の無法者に殺されてしまうのがオチだ。 今日で世界が終わるからと好き勝手してるのだ。 おかしな宗教団体も怪しげな最後の集会を開いてる。 勿論、我らが警察は非番だ。 賢い人は家に籠もって鍵をかけ、大事な人とロマンチックな、もしくはエロチックな、あるいはドラマチックな最後の一日を過ごしているはずだ。 出来れば僕は最高にエロチックでロマンチックな一日にしたかったけど、最悪なことに三ヵ月前に最愛の彼女とは喧嘩別れしてしまってる。 どうせ終わるのなら四ヵ月程前に世界が終われば良かったのに。 そんなわけで僕は今朝からどうするあてもなく、布団に潜っている。 そして今思い付いたのは最後なんだし、全裸で街中を疾走してみようという素晴らしい案だ。 さっそく服を脱いで外に出てみる。 人影の無い住宅街を全裸で走り抜け、大通りに出てみると何という事だろう。 同じことを考える人はいるもので、ちらほらと素裸で走り回る人がいるじゃないか。 そして、何という事だろう。 住宅街を本能に任せて駆け抜け、大通りに勢い良く出てきた僕の50M程先には、三ヵ月前に別れたはずの彼女が、こちらを向いて立っていた。 服は着ている。 呆気にとられながらも二人して近づき、お互い向かい合うと、何を言ったら良いのかわからないでいる僕を見兼ねて彼女が先に言葉を発した。 「まったく馬鹿なんだから…」 「ごめん…でも以外と気持ち良かったんだよ!こう全身で浴びる風が――」 「ばか…今日世界が終わるんだから、他にやることあるでしょ!」 そんなわけで僕の最後の一日は、案外悪いもんじゃ無くなった。
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