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はは、もやし様様だな。
一気に口に掻き込む。先程と比べると、恐ろしい程に食が進んだ。
「しーおあーじ加減がぜーつみょーでー」
口を突いて出る軽快なリズム。
「シャキッと歯ーごたーえもう夢中ー」
作詞作曲、俺。
うん、ちょっと良いかも。
その日の夕食はもやし二皿分、白飯二膳で済ませた。後から聞いた話じゃ、あれは“豆もやし”と言うらしい。気が付けば、俺は親父の分の豆もやしも食べてしまっていたのだ。
結果、翌日の朝食は無かった。代わりに出されたのは母の怒声。
“美味かったから仕方ない”なんて子供染みた言い訳をすると、呆れた声が返ってきた。とりあえず、その日の夕食に豆もやしをリクエスト。
さあ、学校へ向かわねば。
『豆もやしの唄』を陽気に歌いながら、玄関を後にした。
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