豆もやしの唄

3/4
前へ
/4ページ
次へ
   畜生、質素過ぎる。  今食べたいのは肉だ!  落胆の色を隠せないまま白飯をよそい、諦めて席に着いた。 「いただきます」  一人の居間で、声はよく響く。  とりあえずもやしをつついて、箸でつまむ。どう見てもこれで育つ気がしないのだが。  細い、細い、白いもの。  やはり母はこの自分にもやしっ子になって欲しいらしい。いや、新手の仕返しかもしれない。この間勝手にプリンを食べたものだから。    とりあえず、空腹を満たしたいため無理矢理口に運ぶ。すると噛んだ瞬間に、予想外の薄い塩味と野菜独特の甘味が口に広がる。  俺は目を丸くした。これは、噛めば噛むほど……。とりあえず、確認するかのようにもう一口分を口に運ぶ。 「……うん、美味い」  なんというか、正直舐めてた。  さっぱりしてるけれど味はしっかり付いていて、しかも超俺好み(もしかしたら俺の舌に合わせて作られたのか)。歯ごたえに関しては申し分無い。  
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加