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「……漣が頭を強く打ったんだ。病院も行ったけど、とくに問題ないみたい」
赤銅の名前と、病院という単語に体が一度震えたが、問題ないという言葉に深く息を吐き出した。
ふと安心して、思わず笑みが浮かぶ。
「車で家に送ったから。だから、看病しに行ってやって」
七瀬は電話越しでもわかる程、楽しそうな笑みを浮かべているのだと思う。
ということは、先程の私の笑みも気付かれてしまったのだろうか。
私は七瀬の言葉に了承の言葉を返し電源ボタンを押した。
すると聞こえてくる無機質な音。
それにもふと笑みをこぼし、着ていたスウェットをベッドの上に脱ぎ捨て私服に着替えた。
そして階段を降り靴に履き替える。
漫画のようにベランダで行き交えたらいいのに。
そう思うが、世の中漫画のようには出来ていない。
あくまでも理想像。
君が見えなくなる。 1
とにかく早く君に会いたいの。
大好きな、君に。
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