1人が本棚に入れています
本棚に追加
幼い頃から毎日というほど来ていた赤銅の家の構造は、住んでいるのではと思われるほど理解している。
玄関から入って突き当たりを左に曲がればすぐに階段があり、階段を上っていけば左正面にあるのが赤銅の部屋。
何故かここだけ緊張してドアノブに手をかけたまま動きが止まる。
そのまま深く深呼吸すれば意を決して赤銅の部屋のドアノブをひねり恐る恐るドアを開けた。
そしてまず目に入れたのはベッド。
そこに赤銅がいると聞いたから。
そしたら本当に赤銅がいて、ほっとして息を吐いた。
赤銅を見つめたままドアを後ろ手にゆっくりと音が出ないように閉める。
一歩一歩、歩を進め近付いていけば、微かな呼吸音が聞こえた。
何も言ってこないところを見ると、本当に寝ているんだ。
そう思うと先程までの自分の行動が申し訳なくなる。
ドタバタという言葉が本当によく合った行動。
よくあれで起きなかったな。
と自分で音を出しておきながらそう思った。
声を出さずにごめんと呟く。
ベッドの隣に座り赤銅の顔をまじまじと見る。
やっぱりかっこいいと思う。
何気に優しいし。
赤銅と付き合えた自分は本当に幸せだ。
なんだか笑みが溢れるが、流石になにか声を出したら起きてしまうだろうと急いで口を両手でおさえる。
おさまった笑みに安心し手を離せば、やはり込み上げてくる笑みに堪えきれず微笑んでしまった。
しばらく赤銅の顔を見つめていたがだんだんと眠くなってくる。
いつもより早く起きてしまったからだろうか。
うとうとしていた榛那は、いつの間にか赤銅のベッドに頭を預け眠ってしまっていた。
君が見えなくなる。 2
私ね。
今日、赤銅の夢をみたんだ。
夢に出てきた赤銅は、
微笑んでくれたの。
ねぇ、赤銅。
目が覚めたら、夢のように微笑んでくれる?
そして、愛してると囁いて。
最初のコメントを投稿しよう!