第一章

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チリンチリンチリン 自転車のベルがリズムよく3回ずつ鳴らす。 最初はゆっくり鳴っていた音がイライラしたようにじょじょに早くなっていく。 鈴音を迎えにきたという合図らしいがとうの鈴音はまだベッドの中で夢を見ている。 「哉汰くんごめんなさいねっ鈴音まだ起きないのよ;何回も起こしているんだけど……」 そういって玄関からでてきたのは鈴音 のお母さんだ。 タレ目で茶色の滑らかなウエーブの髪。 綺麗系というより可愛い系でその愛らしい顔は近所でもそうそういない。 もちろん性格も抜群にいい。 たまに例外ありだけど……そこは気にしないことにしよう。 見た目は20代後半ぐらいだが実際は40をこえている。 「おばさん!今日も可愛いですね!俺が鈴音起こしてきますよ」 「あらあら……おばさんじゃなくて雅さんでしょ?哉汰くん」 一見笑って言っているように見えるが目が笑っていない……。 おまけに背後には異様な空気と凶暴な白猫が爪と歯を剥き出しにしているように見える。
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