第一章

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「ふざけんなぁ!!!」 哉汰は鈴音にビンタをくらわす。 「いったぁ~い!」 それでもまだ頬を触りながら眠そうにしている。 「お前……後15分で遅刻だぞ!置いてくからな!」 遅刻という言葉を聞いて鈴音の目が一気に開く。今ので完璧に目が覚めたらしい。 「嘘だぁ!!そんなっヤバイじゃん!なんでもっと早く起こしてくんないのよぉ!!哉汰のバカァ!アホォ!マヌケ~」 そういって枕を投げつける。 「わわっお前その物投げるくせやめろよなぁ」 投げつけられた枕をひょいっとよける。 「てかなに女の子の部屋に勝手にはいってるのよ!はっ!?私、服着てる?!あんた何もしてないでしょうね?!」 早口でしゃべり哉汰をにらむ。 「誰が女の子だよ……それにいつものことだしなんもしてねぇよ」 横目で鈴音を見てから腕をくんで後ろを向いた。 「あーそうですねぇーどうせっ もう!着替えるんだからさっさとでてってよね!」 頬っぺたを膨らませて哉汰の背中を押し部屋からだしてバタン!!とドアを閉めた。 それからひょっこりドアの少し開けて顔をだし、「のぞかないでよね!」と念を押してもう一度バタン!!とドアを閉めた。 「誰もお前の着替えなんかのぞかねぇよ」 とドアにもたれながら呟いた。 バン!!という音と一緒にチリチリと音がした。どうやら目覚まし時計を投げたようだ。 うわー怖え~ 俺いつか絶対こいつに殺される…… 「前で待ってやるから早く来いよ!」 そういって足早に、逃げるかのようにマイチャリのほうに向かった。 なにさなにさっどうせ私は男みたいですよぉ ものすごいスピードで着替えをすませ歯を磨く。 いつもよりかなり寝坊したので朝食は抜きだ。かっぱつに動きまわる鈴音にとって朝食抜きはかなりきつい。 「おっまたせぇー」 「おせーよ。早く行くぞ」 小走りで哉汰のチャリの荷台へ行く。 「お前手に何持ってんの?」 鈴音が片手に持っているものを指差して言う。 「これ?荷台ってお尻痛くなるじゃん!」 可愛いでしょっと猫の形をしたクッションを哉汰に見せ急いで荷台に取り付ける。 「おまっ!俺のチャリにそんな可愛いもんつけんじゃねぇよっ」 クッションをはずそうとしたら、そこにはもう鈴音がスタンバイしていた。
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