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詩織と朱里は他愛のない話をしながら学校へと向かう。
校門を抜けた時、不意に詩織は声をかけられる。
「あ、詩織さん、おはようございます」
聞き覚えのある声に詩織はバッとそちらの方へと振り返る。
そこには昨夜詩織が受けた妖魔退治に横やりを入れた御堂修一の姿があった。
その姿を視認すると詩織は綺麗な顔を思い切り顰める。
修一はニコニコと何も考えてなさそうな笑みを浮かべて箒を片手に立っている。
詩織は自分と修一の顔を交互に見比べている朱里の腕をむんずと掴むと足早に昇降口の方へと歩いて行く。
(何なの、何なの、何なの、あいつ!)
ずんずんと先に進む詩織に腕を掴まれて引きずられる形で歩いていた朱里が面白そうなものでも見つけたような顔で詩織に話しかける。
「ねえ、ねえ、誰、あの人」
「知らないわよ!」
「でも詩織の名前呼んでたじゃん。知り合いなの?」
「知らないってばっ!」
しつこく聞いてくる朱里に詩織はうるさそうに叫ぶ。
その様子を見て朱里は肩を竦める。
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