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午前中だけで学校は終わり、詩織は朱里とともに帰宅しようとげた箱まで行く。
そこで靴を履き替え校舎の外へと出る。
「あー、疲れた」
大袈裟に伸びをしながら朱里が言う。それに詩織は呆れたような笑みを浮かべる。
「疲れたって何もしてないじゃん」
「夏休み中に学校に来ることだけで疲れるのよーだ」
「何それ」
朱里がおどけて言うのを聞いて詩織は可笑しそうに声をあげて笑う。
「詩織さん、お疲れ様です」
不意にかけられた声に詩織の動きが止まる。
そしてつい先ほどまではにこやかな笑みを浮かべていた顔が一気に険しくなる。
詩織は声の主を鋭く睨む。
「あんた、何な……」
「新しい用務員さんですかー?」
詩織の言葉を遮って朱里が修一に話しかける。
そのことに修一は少しびっくりしたように目を丸くするが、次の瞬間にはにっこりと人好きする笑みを浮かべる。
「はい、昨日付けでここの用務員になった御堂修一と言います。詩織さんのお友達ですか?」
「ちょっと、あんた! こっちに来なさい!」
朱里と話す修一の腕を掴んで詩織は校庭の隅の方へとずんずん歩いて行く。
修一は為されるがままついていく。
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