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「あんた、いったいどういうつもりな訳!?」
校庭の隅につくと詩織は修一に向き直り腕を組んで高圧的に言う。
そんな詩織に修一は全く動じずへらへらと笑っている。その顔に詩織は苛立つ。
「人の話、聞いてんの!」
「はい、聞いてます」
怒られているにも拘らず修一は何だか嬉しそうに答える。
「じゃあ何へらへらしてんのよ!」
「いえ、詩織さんに話しかけられて嬉しくって」
「はあ!?」
意味不明な修一の答えに詩織は目を丸くする。
そして次の瞬間には眉間にしわをよせ険しい顔つきになる。
「ふざけるのも大概にしてね」
低く怒気の籠った声音で詩織はそう呟くと、もうこれ以上何も言うことはないとばかりにくるりと踵を返して朱里の元へと歩いていく。
その後ろを修一は慌てて追いかける。
「あ、あのっ、詩織さんっ、ごめんなさい、ふざけてるつもりはないんです! ただ、本当に嬉しくって……!」
「ついてこないで」
弁解する修一をぎろりと睨んでそう言う。
その視線に修一は何も言えなくなりその場で悲しそうに佇む。
そんな修一の姿に少し良心が痛んだが、怒りの方が勝り詩織は朱里とともに学校を後にする。
「はあ……、何でいつもうまくいかないんだろう……」
小さくなっていく詩織の後姿をぼんやりと見つめながら修一は大きく溜め息を吐く。
そして自分の頭をガシガシと掻きながら小さく呟く。
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